志摩市浜島町塩屋の建具製造会社「小堀木工所」が、六月下旬に鳥取市で
あった建具職人の甲子園といわれる「全国建具展示会」で、
上位賞の鳥取市長賞を獲得した。
受賞作は「無我」と名付けた高さ百五十センチ、幅百七十センチのついたて。
制作した同社の小堀明宏さん(35)は「次は一番になりたい」と
さらなる飛躍を誓う。
受賞作は、各都道府県代表として出展された百点余りの中から選ばれた。
鳥取市長賞は、内閣総理大臣賞や鳥取県知事賞に次ぐ賞。
「無我」は、日本画家横山大観の同名作品をモチーフに、明宏さんの父で
同社社長の幸成さん(63)がデザインした。
仕事の合間を見つけて、明宏さんが四カ月ほどをかけて制作した。
くぎは一本も使わず、細かい切れ込みを入れて、木曽ヒノキなど木材の
部品を組み合わせてある。
中央に表現した着物姿の童は、地震や火山の噴火などで長年にわたり地中に
埋まり黒っぽく変色した木を、縦一センチ、幅五ミリ程度に自分で削った部品を
組んで、浮き上がらせた。
左右は、小さな円形がたくさん並ぶデザイン。同様に小さな部品を使い、
前面に向かって緩やかな傾きを付けて組み合わせ、ほこりがたまりにくいようにと
使う人への配慮も盛り込んだ。
明宏さんは、知人の紹介で愛知県一宮市で修業し、浜島に戻った十七年前から、
仕事の技術を磨くことにもなると、幸成さんとともに工芸作品を制作している。
「細かい作業の連続だが、出来上がったときの達成感はひとしお。
腕を磨いて、仕事でもお客さんのさまざまな希望をかなえられるよう
生かしていきたい」と話している。
ソース(
中日新聞)
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