昨秋の台風12号で大きな打撃を受けた大紀町柏野(かしわの)のイチゴ農家、小林克則さん(58)と靖子(53)さん夫妻が、倒壊したビニールハウスを復旧し、一年余りの空白期間を経て収穫を始めた。
イチゴの栽培は靖子さんが十五年前から始めた。一昨年からは克則さんも会社勤めから転身して加わり、栽培面積を広げた。地域には生産者が少なく、地元で「三ケ野(さんがの)いちご」として親しまれていた。
昨年九月、台風で町内を流れる大内山川が増水し、堤防が決壊。川沿いの水田の中にあるハウスが一メートルほどの高さまで水につかった。イチゴの苗一万六千本が流され、空調などの電気設備も水没、故障した。
大きな被害に廃業も考えたが「同じ立場の農家にエールを送るために頑張ろう」と踏ん張った。地域の人たちの「もう一度地元のイチゴを食べたい」という声も励みになり、手作業で施設の修理を続けてきた。
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