紀北町紀伊長島区長島の底引き網漁船甚昇丸が、熊野灘の深海にすむカニの仲間「テナガオオホモラ」を水揚げした。背中側の一対の脚が上を向いているのが特徴で、乗組員たちは「初めて見る種類」と驚いている。
石倉幸夫船長(64)らが一月末、尾鷲市の沖合十キロで操業中、水深三〇〇メートルから引き揚げた網にかかっていた。タカアシガニかと思ったが、脚のつき方から違う種類と判断し、水槽に入れて陸に持ち帰った。
カニを引き取った鳥羽市の鳥羽水族館によると、テナガオオホモラは、原始的なカニ「ホモラ」の一種。ホモラの中では体のとげが少なく、比較的大きくなりやすい。甚昇丸の網にかかったものは甲羅の幅が一三センチあった。
上を向いた脚で、餌の魚などを持ち上げる。元は、貝殻などをつまんで甲羅の上にかざし、身を隠していたという。
水族館では展示していなかったため、引き取り後に館内で一般公開を始めた。状態は良く、砂地を活発に動き回っているという。
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