三重県度会郡多気町田中の県文化財保護指導員、奥義次さん(69)は
三十日、度会町役場で会見し、同町長原地内で、縄文時代に矢の先に付けた
狩猟具「石鏃(せきぞく)」やブーメラン形の異形石器、削器など約四十点を
発見し、現地の小字名にちなんで「大西出遺跡」と命名して
県教委に登録申請したと発表した。

写真=伊勢新聞
発表によると、石器群は、先月末に実施した表面調査で、
長原西端部にある茶園の一角の畑から発見。石鏃四点のうち、
三点は魚形鏃などと呼ばれる独特の形態で、縄文時代早期初頭
(約一万一千年前)に近畿地方東部を中心に発達したとみられるという。
発見された魚形鏃石器の大きさは、長さ一・七―二・一センチ、
幅最大一・二センチ。表面は風化で白く変色している。
いずれも、大阪府と奈良県境の二上山原産サヌカイト製で、
当地で製作された可能性が高い。約二十平方メートルの狭い範囲から
まとまって確認されたのも、極めて珍しいという。
奥さんは高校教諭を定年退職後、同指導員として担当する度会町や
大台町などで、新しい遺跡の発掘を念頭においた遺跡パトロールをしている。
発見に「石器を作っただけでなく、生活の場を持っていた可能性が高い」と
述べ、「地域と時期が特定されているので、調査をする上で基準となる重要な資料」
と話した。
現在は、県教委社会教室・文化財保護課に報告し、新遺跡として登録手続き中。
魚形鏃の石器を含む六点は九月六―十三日まで、
同町役場一階ロビーで展示する予定。
ソース(伊勢新聞)
[0回]
PR