「東京物語」などで知られる日本映画界の巨匠小津安二郎監督(一九〇三~六三年)が、
松阪で過ごした少年時代に、東京で働く父に送った手紙などの資料が新たに発見された。
名古屋市の女性が五十年間所有していた。
寄託を受けた松阪市愛宕町の資料館「小津安二郎青春館」で、順次公開していく。
「この間はぼくのだいすきな運動会でしたので一心にしました」。
一九一三(大正二)年、松阪に引っ越してきたばかりの九歳の小津少年が、
東京にいる父に宛てた手紙には、こうつづられていた。
運動会のほか、学校や近所の様子などを知らせる内容が、
形の整った字体で書かれていた。
父は当時、松阪商人の海産・肥料問屋の大番頭で、松阪に家族を住まわせ、
自らは東京と松阪を行き来する生活を送っていた。
発見された資料は、小津監督や家族が父との間で交わした手紙や、
家族が生活用品や食料品を購入した際に残した領収書、
相撲ファンだった小津監督の祖父が集めた大正時代の番付表など五百五十点。
小津監督の死後、監督らが暮らした松阪の民家の土蔵を家族が整理したときに、
これらの資料が木箱の中に詰められた状態で見つかり、
知り合いの名古屋市の女性に木箱ごと譲ったという。
女性は昨年一月に死去し、女性の遺族が昨年六月、二年間の契約で同館に寄託した。
青春館の佐野洋治館長は「小津監督が松阪にいた十年間の様子や、
大正期の人々の生活が生き生きと伝わってくる資料。
整理を進めて公開していきたい」と話している。
問い合わせは同館=電0598(22)2660=へ。
http://www.chunichi.co.jp/article/mie/20130117/CK2013011702000016.html
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