伊勢市のNPO旧御師丸岡宗大夫邸保存再生会議(阿形次基会長)が、
東京都江東区の保管する文書の中に、江戸時代の伊勢の御師、丸岡家を
訪れた客の記録があるのを確認した。
同家に同じ客に提供した献立表が残っていたのが判明し、客側の記録と
丸岡家側の記録が一致したのは初めてと注目している。
同区亀戸の旧家に伝わる「牧野家文書」の中の一冊「道中記」に、
当時の主、牧野勘四郎英長や妻、お供の三人が江戸から東海道を長旅し、
第五十二回神宮式年遷宮があった文化六(一八〇九)年の旧暦三月二十六日から
同四月二日まで、丸岡邸の世話で伊勢に滞在した内容があった。
伊勢滞在の初日、宮川の渡し手前の新茶屋(明和町)で御師の迎えを受けて
二見浦に行き、翌日、伊勢神宮外宮を参拝して太々神楽に参列。
その後の内宮、朝熊山、伊雑宮、古市の妓楼への旅程も記されていた。
一方の丸岡家には、牧野が、茅屋勘四郎の名前で勝村茂兵衛主催の
太々神楽に出席した名簿があった。
その夜の献立表の日付が二十七日で、「道中記」での伊勢滞在二日目と一致。
夕食の内容はタイやアワビの刺し身など豪華だった。
同NPOは、伊勢市宮町に残る、丸岡家の御師当時の建物の保存と活用に
取り組んできた。
二年ほど前、メンバーの丸岡家十八代目丸岡正之さん(57)が、
県立博物館から同区の「牧野家文書」を知らされ、原本の写真や活字化した内容を
収めた影印本を取り寄せ、同家の記録と照らし合わせた。
同区はすでに資料の内容を調べていたが、丸岡家の記録との一致は知らず、
「食事など旅の様子がより分かり、資料の正確さの補強になった」と評価している。
同NPOは、「今後、現地を訪ねて情報交換を進めていきたい」としている。
ソース(
伊勢新聞)
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