秋から春にかけての半年間、伊勢志摩地域の幼稚園を中心に
「踊るトラ」が出没している。
その正体は食品スーパー「ぎゅーとら」(本社伊勢市)のマスコットキャラクター。
園児と踊ったり、食育クイズで楽しませたりと、店の外で地域に密着した活動を
展開する同社の“重役”に迫った。
今月十六日、伊勢市小俣町本町の小俣幼稚園。
三~五歳児約百五十人が「とら吉くーん」と声をそろえると、
三匹の着ぐるみのトラがさっそうと登場した。
慣れた動きでポーズを決める姿は、テーマパークのキャラクターそのもの。
園児の心をしっかりとつかんでいた。
とら吉くんは一九八二(昭和五十七)年から店の看板キャラクターとして活躍。
その六年後には息子のトライくんが誕生し、二〇〇六年にはトライくんの恋人の
ラブちゃんも加わった。
〇四年以降は着ぐるみが作られ、店外での活動に精を出すようになった。
幼稚園の訪問活動は同社のCS(カスタマー・サティスファクション=顧客満足)活動の一環。
毎年十月下旬~翌年三月中旬に、店舗を置く津市南部から南伊勢町までの中南勢地域の
幼稚園や保育所を約五十カ所も巡る。
期間中、トラ吉くんたちの“秘書”のように出張へと付いて回るCS推進課長の
大西貞夫さん(46)は「地域への感謝を届けたいのと、
食育にも貢献したい」と活動の根底にある思いを語る。
活動には専属の社員やパート従業員のほか、毎年の採用内定者も参加。
本格的なダンスを披露するため、担当者は鏡の前で業務として必死で振り付けを練習する。
キャラクターが踊る曲は、音楽が趣味という清水秀隆社長(53)が自ら作詞作曲を
手掛けている。
地域のスポーツイベントに登場すれば、
多くの参加者から写真撮影をせがまれる人気ぶり。
この二十年間で伊勢市外に次々と店舗展開をしている会社と同様に、
三匹のトラもじわじわと認知度を高めている。
大西さんは「少子高齢化が進む今後は、年配の世代にも喜んでもらえることを
していきたい」と活動の次の展開を見据える。
子どもたちに愛嬌(あいきょう)を振りまくとら吉くん。
実は虎視眈々(たんたん)とさらなる飛躍の機会をうかがっているのかもしれない。
http://www.chunichi.co.jp/article/mie/20130122/CK2013012202000017.html
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