金融商品などをかたった「振り込め類似詐欺」の被害が県内で急増している。昨年に比べ、認知件数は八割増(十一月末現在)。被害額も三億円以上増えた。金融商品を「高値で買い取る」などの言葉でだます手口が多く、一件当たりの平均被害額は一千万円と高額だ。
県内で一人暮らしをしていた七十代の女性の元に十一月、見知らぬ会社から、未公開株のパンフレットが届いた。その後、別の会社から電話がかかってきた。「もしその会社の未公開株五十万円分を購入したら、八十万円で買い取ります」。言葉巧みに勧められ女性は申し込んだ。だが、すぐ息子が異変に気付いて契約を取り消し、運良くお金はだまし取られずに済んだ。
センターによると、被害には二社以上の業者が登場する「劇場型」といわれるパターンが多い。まずA社から未公開株のダイレクトメールが届く。するとB社から「A社の未公開株を高値で買い取る」との電話がかかってくる。A社から未公開株を購入した時には、B社と連絡が取れなくなっているという手口だ。
県交通安全・消費生活課は「振り込め詐欺も弁護士や刑事が登場する巧みなパターンにまで発展した。同様のパターン」と指摘する。複数の登場人物が出てくることで電話の相手を信用させやすくする手口だ。県警によると、ことし十一月末までに県内の類似詐欺の認知件数は三十一件(昨年同期比二十五件増)で、被害額は三億四千五百三十万円(昨年同期比三億六百四十万円増)。一件の最高額は五千三百万円だった。
類似詐欺は全国的にも急増。昨年中に七十六億三千万円だった被害額は、ことし九月末までに既に百四十億円を超えた。認知件数も昨年中の九百七十七件から約六百件増えた。
県警幹部は「景気が低迷して銀行の金利も低い。会社の経営状況が良くないなどの状況で、わらをもすがる思いで飛び付いてしまうのでは」と読む。
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