紀宝町の石本果樹園は、県最南端で生産される希少な香酸かんきつ「サンズ」を使ったポン酢を開発した。地元の高校生が商品のロゴをデザインしており、生産量が減少しているサンズの復権に一役買いそうだ。
サンズは宮崎県日向市原産で、実が落ちにくいことから、繁栄の象徴として正月飾りに使われる。独特の芳香があり、紀南地方ではサンマすしや、焼き魚の香り付けにも利用する。県内の生産量は、一九八八年の四十五トンがピーク。生活様式の変化などで一九九一年には五トンに落ち込み、現在は統計が取られなくなっている。
石本果樹園は今もサンズを生産しており、岐阜県内のしょうゆ製造会社にポン酢の製造を依頼。御浜町の紀南高校にはロゴデザインを依頼し、美術を選択する二年生三十五人が授業で検討を重ねた。審査の結果、浮世絵を参考にした元屋敷翔大君(17)のロゴと「さんずぽんず」のネーミングが採用された。
生産量が激減しているサンズ
紀南高で十八日に表彰式があり、石本果樹園の石本慶紀代表(35)が「おとこ気あふれるデザインでユニーク。今後も地元に古くから伝わるものの魅力を、再発見してほしい」とあいさつ。元屋敷君は「これまでサンズの存在を知らなかった。自分の案が通ってうれしい」と話した。
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