二日夜に遷御を迎えた伊勢神宮内宮には、
早朝から老若男女が途切れなく訪れ、
二十年に一度の「引っ越し日」は通常通りの参拝風景で幕を開けた。
正午すぎに三〇度を超える暑さに見舞われ、
日傘やタオルを手にした参拝客らの姿も見られた。
手水舎には作法通りに左手から身を清める人たちがずらり。
境内を流れる五十鈴川のほとりでは、
ゆっくりと流れる清流で手を洗ったり、
小魚を見つけて「かわいいね」と歓声を上げたりする親子連れも。
正宮に向かって奥へと進むと、遷御でうつすご神体が
雨にぬれないように設けた木製の屋根「雨儀廊(うぎろう)」が。
周囲には、特別奉拝者用のパイプいすが並び、
一般客が物珍しそうに見ていた。
正午には、遷宮の行列に使わない新調の
御装束神宝(おんしょうぞくしんぽう)を
新正殿に飾り付ける儀式「御飾(おかざり)」がスタート。
神楽殿前の参道横を、古式ゆかしい装束に身を包んだ
臨時祭主の黒田清子さんらの一行がしずしずと新正殿へ。
一帯には砂利を踏みしめる足音が響き渡った。
遷御の日程を知らずに夫と参拝したという
神奈川県茅ケ崎市の主婦神保道子さん(70)は
「知らずに御飾の行列を見物しましたが、
『夫婦でもう一度来よう』という二十年前の夢がこんな
貴重な日にかなってよかったです」と笑顔を見せた。
年に一回は参拝しているという大紀町阿曽の
会社員坂本和夫さん(56)は「『今までありがとうございました』と
旧正殿に参拝しましたが、人が変わっても儀式と
景色は変わらないですね」と話した。
ソース(中日新聞)
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