
【築山にスコップを入れて工事の無事を祈願する関係者ら=明和町斎宮の国史跡斎宮跡で】
写真=伊勢新聞
三重県明和町斎宮の国史跡斎宮跡柳原区画で二十六日、平安期に儀礼用などとして使われた建物三棟の復元建設工事着工式があり、来賓など約七十人が工事の無事を祈願した。
復元するのは、斎宮制度最盛期の平安時代前期(九世紀)に、祭礼などに用いられていた檜皮葺(ひわだぶ)きの建物三棟。発掘調査で発見された柱穴に沿って、構造補強や電気設備を加えて再現する。
三棟のうち、入母屋(いりもや)造の「正殿」(建物面積百三十八平方メートル、高さ約八メートル)は、主に斎宮寮長官と呼ばれる役人が、儀礼やもてなしなどに使用した。
正殿南の広場に建つ切妻(きりつま)造の「西脇殿」(約二百平方メートル、高さ約七・六メートル)は、正殿と同じく役人の儀礼用に使用。
高床式の二棟と異なり土間床の堅牢な造りの「東脇殿」(約百五平方メートル、高さ約六・八メートル)は、祭事用具の保管や待機場所に使われた。
事業は、建物三棟の復元を含む周辺約二万七千平方メートルを整備し、来年七月に完成予定。総事業費は四億五千九百五十四万円で、名古屋城復元などの実績を持つ松井建設名古屋支店(名古屋市西区、松井隆弘社長)が担当する。当初平成二十六年度中の完成を予定していたが、二度の入札不調により着工が遅れていた。
着工式では、来賓代表らが用意された築山にスコップを突き入れる「工事始め」で工事の無事を祈願。続いて地元保存会などが伝統舞踊を披露した。
高沖芳寿県環境生活部長は知事の祝辞を代読し、「県だけでなく全国でも極めて高い価値を持つ建物。新しいシンボルとして県の情報発信の新たなツールとなる」と読み上げた。
また中井幸充明和町長は「紆余(うよ)曲折あったがこの日を迎えうれしく思う。斎宮を多くの人に知ってもらえる情報発信の大本としたい」と述べた。
斎宮は、飛鳥から南北朝時代まで、天皇の代理で伊勢神宮に仕えた皇女である斎王の御所とされる。
ソース(伊勢新聞)
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