国際熊野学会(林雅彦代表)の本年度大会が二十二日、紀北町紀伊長島区東長島の
東長島公民館で始まった。
今回のテーマは「伊勢路の観音信仰と巡礼」で、会員や地元住民ら約五十人が、
有識者五人による基調講演やセミナー、研究発表などに熱心に耳を傾けた。
みえ熊野学研究会の小倉肇運営委員長が「観音信仰の道・伊勢路について」と
題して基調講演。
後白河法皇が編集したとされる歌謡集「梁塵秘抄」中の一節
「熊野に参るには 紀路と伊勢路のどれ近し どれ遠し 広大慈悲の道なれば
紀路も伊勢路も遠からず」を挙げ、平安末期には熊野詣でのルートとして西の紀路、
東の伊勢路が庶民に広く知られていたと紹介した。
不安定な世の中で、皇族や貴族だけでなく庶民が救いを求めて巡礼に訪れた
熊野の地を「全ての人を救う土地」とし、沿線に残されている数多くの観音が
救いや伝説のシンボルだったことを説明した。
小倉運営委員長は「大自然の中で全ての人らの苦悩を受け入れる神仏の魂が
存在する聖地とされていたため、熊野は日本の原郷とも言われる。
霊魂と現世に生きる人らの魂が交流している可能性を実感できる風土を守りたい」と
述べた。
基調講演後には、熊野古道での巡礼や交流に関する有識者らのセミナーや
研究発表もあった。
大会最終日の二十三日は、「観音の里・赤羽を歩く」と題した町内の現地見学会を
開き、赤羽神社や泉福寺梵鐘(ぼんしょう)、聖観音像など、熊野古道ゆかりの
場所や遺産を見て回る。
ソース(
伊勢新聞)
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