宮川豪雨災害で亡くなった宮川村議鈴木一平さん=当時(68)=の
妻才枝子(さえこ)さん(77)は、皇太子さまから仮設住宅での生活へのねぎらいの
言葉を掛けられた。
「心からのお言葉で胸に染みた。生きてて良かった」。
皇太子さまの優しさに触れて目頭を押さえた。
周辺の見回りから帰ってきた一平さんは、自宅裏の様子を見に行ったときに
崩れてきた土砂にのみ込まれた。
しちりんでご飯を炊こうと母屋を離れた才枝子さんは無事だったが、
自分だけが生き残ったことに苦しんできた。
「私も一緒に行けばこんな思いをせんで済んだ」。
親戚や町の保健師や医師、仮設住宅があった上真手(かみまて)区の
住民らの支えで持ちこたえ、二月に喜寿を迎えた。
「仮設住宅では大丈夫でしたか」「お体を大事にしてください」と皇太子さま。
「いろんなこと励ましてもらったで」。
墓前では前を向いた姿を見せようと思っている。
◆「みどりのつどい」出席
紀北町で十八日に開かれた「第二十四回全国みどりの愛護のつどい」に
出席された皇太子さま。
国土交通大臣表彰を受けた団体の代表者ら八百人を前にあいさつし、
住民参加による緑化推進の大切さを述べた。
受賞者を代表し、紀北町の「ツヅラト峠を守る会」の熊野古道一帯での清掃や
植樹活動が紹介された。
式典の前後には「新・権兵衛踊り」など地元の伝統芸能などが披露された。
紀北町の劇団「かんからこぼし座」は、かっぱにまつわる伝説を題材にした
影絵を上演。
皇太子さまは演じた子どもたちに「とてもよくできていますね」と声を掛けた。
午後は二〇〇四年の豪雨災害で大きな被害が出た大台町を訪問。
町領内地域総合センターでは尾上武義町長らが写真パネルを示して当時の
被害状況を説明。
皇太子さまはうなずきながら聞いていた。
被災現場にできた「滝谷の里公園」では遺族に言葉を掛けられた。
◆皇太子さま感想
全国みどりの愛護のつどいを契機に、緑豊かな環境作りがよりいっそう
推進されることを希望します。
被災現場を訪れ、実際に現場に立って被害の大きさと土砂災害の威力に
驚かされました。
かけがえのない肉親を亡くされた遺族の方々の悲しみはいかばかりかと
思うとともに、今後のご健勝をお祈りしております。
ソース(
中日新聞)
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