古代史に関係の深い三重、奈良、島根、宮埼各県が共催する
「第一回古代歴史文化賞」の受賞者発表会が九日、
東京都千代田区の帝国ホテル東京であり、「みえ賞」に佛教大歴史学部教授の
斎藤英喜氏の著書「古事記はいかに読まれてきたか―神話の変貌」(吉川弘文館)が
選ばれた。
古代歴史文化に関する書籍を表彰することで、国民や県民の関心を高めようと企画。
今年、伊勢神宮式年遷宮を迎える県では、遷宮や古事記、日本書紀を共通テーマに
島根県と連携事業を実施しており、今回も同県らと共同で取り組んだ。
平成二十二年四月から今年三月までに発表された作品が対象で、専門家で構成する
選定委員会で審査した。
「みえ賞」に選ばれた斎藤氏の著書は、本居宣長を起点に、時代をさかのぼりながら
記紀研究を追跡し、古事記成立の謎に迫る内容。
選定では、古事記が読まれてきた歴史を「謎解き」のように示し、読者を飽きさせない
工夫をしている点などが高く評価された。
溝口善兵衛島根県知事、荒井省吾奈良県知事、加藤敦央三重県雇用経済部観光国際局長ら
が祝福に駆け付けた。
加藤局長は「三重は今年遷宮を迎え、非常に盛り上がっている。二十八日には
日本橋に三重テラスがオープンする。古代歴史文化と深く連携しながら、情報発信を
していきたい」と語った。
斎藤氏は取材に「本居宣長は松阪出身で、伊勢も古事記に深く関係しており、
『みえ賞』の受賞は非常にうれしい」と喜び、「古事記が読まれた過程と謎解きを
どのように書くか苦労したが、一般の読者にも分かりやすいよう心掛けた。
それが評価され良かった」と述べた。
受賞はほかに、大賞に都出比呂志大阪大名誉教授の「古代国家はいつ成立したか」
(岩波書店)、また「しまね賞」には三重出身の関和彦氏の
「古代に行った男ありけり」(今出出版)が選ばれた。
ソース(伊勢新聞)
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