衆院選後初の特別国会が召集された二十六日、県内から選挙区や比例で選ばれた衆院議員七人が初登院した。政権を奪還した自民は、田村憲久さん(4区)が厚生労働相として初入閣。二人の新人議員も誕生し「経済再生」など公約達成への意欲を語った。議席を守った民主議員も「初心に戻る」と野党としての再出発を誓うなど、主な議員たちの初日の表情を追った。
◆初入閣 田村さん決意
厚労相を務めることになった田村さんは本会議終了後、議員会館の自室で落ち着かない様子で電話を待った。
午後五時前、総理大臣秘書官から官邸への呼び出しがあると「内容は行ってみないと分からないが、十分な期待と重い責任を感じている」と緊張の面持ち。「どんな役職でも、安倍内閣をしっかり支えるべく頑張りたい」と決意を述べた。
田村さんは、二〇〇六年の安倍内閣発足時には総務副大臣として政権運営の一翼を担った。また党の新型インフルエンザ対策プロジェクトチーム座長、子育て対策小委員会の委員長などを務め、厚生労働問題に長年取り組んできた。県選出議員では、これまでにも引退した公明党の坂口力さん、自民1区の川崎二郎さんが厚労相を務めている。
◆地元関係者も祝福
田村さんの松阪市茶与町の事務所には後援会関係者らが詰め掛けてテレビを見つめた。菅義偉官房長官が名前を読み上げると万歳し、大臣誕生を喜んだ。
三十一歳での初当選から後援会長を務める宇野恭生(たかお)さん(65)は「重鎮が就くポストに四十八歳で選ばれたのは素直にうれしい」と感慨深げ。「通過点でまだまだこれから。地味で大変な分野だが彼ならぶれずにやってくれるだろう」と期待した。
衆院議長まで務めた伯父・元(はじめ)さん(88)が初入閣したのも四十八歳。当時の労働相で分野も重なる。宇野さんは「元先生を超える政治家に育ってほしい」と激励した。
松阪高校で同じクラスだった楠谷俊之さん(47)は毎年開かれるクラス会で田村さんが熱心に政策の話をしていたことを思い浮かべ「難題ばかりだが彼は相当勉強している。やってくれると思う」。佐久間麻里さん(48)は「クラス会で言っていたようにこれからの日本を変えてほしい」と期待した。
地元の政財界も祝福。山中光茂松阪市長(36)は「市の抱える課題を把握し、地域の声を国政に届けていただいた。今後も専門性と現場へのかかわりを大いに生かしてほしい」と述べた。松阪商工会議所の中井均会頭(77)は「これまで築いてきた厚生労働行政の実績を存分に発揮されることを期待します」とコメントを出した。 (戸川祐馬)
色紙に座右の銘を書く島田佳和さん=衆議院第一議員会館で
◆島田さん「本当の勝負」
初当選した自民二人は、やや緊張しながらも終始笑顔。島田佳和さん(比例東海)は、まだ荷物の少ない議員会館の自室で「これからが本当の勝負。選挙区の北勢地区の交通、沿岸部の防災インフラ整備に向け、しっかりと主張をしていきたい」と決意を語った。初登院は福島県から訪ねてきた母親を国会議事堂前まで案内し、議員バッジを胸に「身の引き締まる思い」と背筋を伸ばした。
桜井宏さん(比例東海)は、議員会館から国会へ向かう廊下ですれ違った先輩議員や警備員に至るまで、刷り上がったばかりの名刺を差し出して自分を売り込んだ。選挙戦を振り返って「多くの有権者と約束を結んだ。右も左も分からないが、実現に向けて一生懸命努力する」と話した。
十期目の川崎二郎さん(1区)は「野党に転落した失敗を繰り返してはならない。有権者が切望する景気回復を一日も早く成し遂げねば」と語った。六期目の田村憲久さん(4区)は「自民党が積極的に支持を受けたとは言い難い」と謙虚に受け止め「他党の意見もしっかり聞かないといけない」と気を引き締めた。
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